ラモナ

Рамона

 数年前、情報総局(GRU)の 記念記章のコレクションが持ち込まれた。記章は記章だが、軍部隊番号、モットー及びこの部隊の歴史を意味するもう1つの数字が描かれている。各々には、艦隊所属の偵察施設なら艦艇、宇宙偵察なら衛星といった分かり易いシンボルが描かれている。

 コレクションの中には、より情報のある記章があった。例えば、ローマ数字「IV」とアフリカ大陸のような. 記章がアフリカでの諜報を担当するGRU第4局を記念して製造されたことは明らかである。あるいは、キューバのシルエットにロシア連邦国防省電波電子センター35周年とあるのは、ルールデス電波スパイ・センター35周年 のことである。実際、これら記章の中に、非常に奇妙なものがあった。そこには、朝鮮民主主義人民共和国の地図と電波スパイ基地を象徴するはずである衛星アンテナ が描かれていた。

■隠蔽

 ソ連及びロシアが国外のキューバ(ルールデス)及びベトナム(カムラン)に、計2ヶ所の電波スパイ基地を保有していたことが、ある程度知られている。両基地は、伝統的に、米国及び直接の隣国側からの強い懸念を引き起こし、マスコミでの大騒ぎと下院での公聴会を常に伴った。

 最近、ロシアは、両基地を閉鎖することに決めたが、ロシアの対外政策の勝利に属さなかった。というのも、当該基地の意義は、沿岸での敵艦隊の機動よりも重要だからである。既に1993年、キューバ国防相ラウル・カストロは、ロシアが諜報性情報の約75%をルールデスのセンターの助けで得ていると表明した。これは、勿論、過大評価だが、アメリカ人は、キューバのセンターに常に神経質に反応した。

 しかしながら、最初の試みでは、上手くいかなかった。北朝鮮のロシア基地に関するいかなる情報も、1つの言及も見つけられなかった。職務上、この地域でのロシアの諜報活動について知っているはずである者との会談も、何ももたらさなかった。2ヵ月後、 完全に憂鬱にさせる知らせが入った。

 問題は、最後の手段として、全世界アマチュア無線クラブSpooksの友人に、朝鮮のロシア基地に関する照会状を送ったことにある。彼らの趣味は、自宅の無線受信機から、軍用及び特殊周波数を聴取し(ロシアとは異なり、他国ではこれは禁止されていない。)、並びに 全世界の電波スパイに関する出版物を収集し、体系化することである。このクラブのメンバーが様々な国に存在し、常に情報を交換していることを考慮すれば、クラブは、電波スパイ領域における非常に詳細なデータベースを所有している。少なくとも、Spooksの外には、ルールデス無線傍受員の活動図式に出会ったことはない。

 しかし、このクラブのリーダー、エリ・ボンダーも、全く助けにならなかった。「私は、北朝鮮のソビエト又はロシア電波技術諜報基地について、全く聞いたことがない。もしかすると、これは開設されたばかりなのか?しかし、ルールデスとカムランの閉鎖決定後にロシアがこれを行ったとすれば、非常に驚かされる」と、エリは悲観的な解答を書いた。

 謎めいた記章は、目障りなままで、安心を与えなかった。その存在に関する情報が国際大スキャンダルの原因であるとき、 ソ連の電波スパイ基地がこれほど爆発の危険性がある地域にいかにして存在できたのか。しかし、私の手には、記章の外、何もなかった。

 一般に、基地については、しばらく忘れざるを得なかった。韓国諜報部のための仕事で起訴された外交官ワレンチン・モイセーエフへの判決が明らかになるまでは。

■裁判が秘密を公開

 2001年8月14日、モスクワ市裁判所は、元ロシア外務省アジア第1部副部長ワレンチン・モイセーエフの事件に関する判決を下した。元外交官は、韓国のためのスパイ行為で有罪と認められ、厳格体制収容所での服役を伴う自由剥奪4年6ヶ月を言い渡された。 法廷において、裁判官は、北朝鮮のロシア基地に関するセンセーショナルな情報を公開した。以下は、判決文から。

 「裁判所は・・・NSPA(国家安全企画部)の条件を遂行しつつ、モイセーエフV.I.が・・・1997年秋、MiG-29及び朝鮮民主主義人民共和国におけるロシアの電波技術諜報複合体「ラモナ」の機能化終了に関するロシア連邦と朝鮮民主主義人民共和国間の協定の履行に係わる部分において、ロシアと朝鮮民主主義人民共和国間の軍事協力に関する軍事協力領域における国家秘密を構成 し、ロシア連邦外務省アジア第1部朝鮮課の定型書類に含まれる秘密情報を手渡した・・・ことを確定した」。

 少なくとも1997年までロシア特務機関のために活動していた秘密電波スパイ基地の名称が、明るみにされた。

■「ラモナ」の誕生

 実際、この基地が何のために作られたかは明らかではない。モスクワ市裁判所の判決からは、基地が電波技術偵察を担当していたとの結論を下すことができる。軍事出版社の本「電波電子 偵察」の定義によれば、電波技術偵察(RTR)とは、電波探知局(レーダー)、電波航法 及び無線テレコード・システムの発見及び識別に関する電波電子偵察の一種であり、無線受信、方位測定及び電波信号の分析方法を使用する。ロシア語では、このことは、RTRが敵の秘密会話を聴取せず、電波空間における敵の活動を追跡し、暴露された無線局の放送図式を作成することだけを意味する。

 そのためにこれが必要なことは、「アクワリウム」において、ヴィクトル・スヴォーロフが最も良く説明している。

 「そして、長年に渡る分析の結果、「RB-7665-1が放送に出れば、つまり、4日後には、ラムシュタインで大規模な離陸が行われるだろう」と言える可能性が現れる。これは、揺るがざる法則である。Ts-1000と呼ばれる局が突然動作すれば、在欧アメリカ軍の戦闘準備が 向上することが子供にでも分かる・・・」

 ロシア特務機関システムには、電波スパイに従事する2つの組織、GRUと、いわゆるFAPSI第3総局、通信手段電波電子情報総局(GURRSS)が存在する。電波技術諜報により獲得できる情報は、純粋に軍事的な意義を有する。そして、特にこの軍事諜報部に、秘密の「ラモナ」が所属し、あらゆる点から見て、特にこの基地の助けで、ロシア諜報部は、日米航空隊を監視していた公算が大きい。

 「ラモナ」基地が日米に対して活動していたことに関するこの説のもう1つの論拠は、「金正日」という本に見つかった。本は、2人の脱北者、金ヘンシクとソン・クァンジュが書き、1998年 、アルマアタにおいて、「シャルタラプ」出版社により限定部数で発行された(韓国において、本は、1997年10月に出版された。)。

 亡命者は、「1995年まで、北朝鮮とソビエト連邦間の関係は、冷たかった。1985年から、北朝鮮が自国軍の近代化課題を決めたため、軍事関係が拡大し始めた。翌1986年の解放40周年を記念したソビエト軍事代表団の平壌訪問後、470人の大将官団が、教育のためソ連に到着した・・・。黄海道アンサンに、沖縄に配備されたアメリカ軍に関する諜報情報の収集のために、「ラモナ偵察基地」が設備された。これと関連して、軍事専門家の数が更に80人増加された」 と回想している。

 このようにして、朝鮮の亡命者は、現在閉鎖されている電波技術諜報基地が、1985年以降に創設され、第二次世界大戦時から米軍基地が位置する沖縄の電波空間を傍受していた ことを確認した。その定員は、約80人に達した。

■不名誉な最後

 情報筋の言葉によれば、1996年夏までに、北朝鮮のロシア基地の閉鎖に関する交渉が行われた。1996年6月11日、北朝鮮大使館からロシア連邦外務省に、軍事諜報領域における露朝協定の効力停止に関する文書が入った。つまり、国外におけるロシアの機密電波スパイ基地の歴史が終わった。

 それにも拘らず、もしかすると、終わってないかも知れない。2001年4月、過去10年間で初めて、北朝鮮軍事代表団がモスクワに到着した。ロシア側からは国防相イーゴリ・セルゲーエフが、北朝鮮側からは人民武力部長金鎰侮汾モェ交渉を行った。その結果、軍事領域における協力の発展に関する協定が署名された。この文書の内容については、何も知られていない。恐らく、そこには、「ラモナ」の機能復活に関する項目が存在するだろう。

■沖縄−偵察対象

 第二次大戦後、沖縄は、日本から分離され、長期間、米国の統治下にあったが、その領域には、アメリカ軍事基地の完全なシステムが創設された。あるジャーナリストの定義によれば、「沖縄にはアメリカの基地はないが、沖縄自体が基地である」という状況が形成された。1972年5月15日、日米政府間協定に従い、沖縄は、日本に返還され、再び47都道府県の1つとなった。しかしながら、米国の軍事基地は残された、現在、沖縄には、島領域の20%をカバーする11ヶ所の米軍基地が位置する。これは、全在日米軍基地の75%である。

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最終更新日:2004/03/19

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